仕事はノーと言うことだが軽々しくノーと言わない 

1.法務部員は恨まれやすい 

法務部員は勤務先における法律の権威であり、その言葉は重いと自覚する必要があります。お墨付きを与えたと誤解されないためにも、軽々しくイエスということは許されません。さらに言えば、法務部員の仕事はノーと言うことです。法に触れかねないプロジェクトが実行されようとしているとき、体を張ってでもこれを止めることが法務部員の職責です。

ところが、せっかく体を張って違法なプロジェクトを止めて、勤務先を行政処分などのリスクから救っても、安全運転となった新プロジェクトを終えた後に、ほら何も起こらなかった、法務部員が止めなければもっと効率的にプロジェクトを遂行できたのに、と恨まれてしまうのが法務部員の常です。

2.賢い立ち回り

法務部員は企業の一員です。企業の目的は利益の追求です。そのため、法務部員の目的も、勤務先に利益をもたらすことになります。しかし、それだけでは足りず、勤務先が得た利益が自分にも分配されるように賢く立ち回ることも求められます

体を張ってプロジェクトを止める際には、どのような法令や指針、裁判例があって、プロジェクトにはどのようなリスクがあるのか、そのリスクが顕在化した際のインパクトはどの程度か、最悪のケースとその発生見込み、を事細かに説明して、周囲を説得して納得させる努力が必要です。よくぞ止めてくれた、危ないところだった、そう褒めてもらえなければ自分がすり減るだけです。褒めてもらえないならば、それは説得能力の不足です。なお、説得能力は、論理的思考のみならず、身なりや話を切り出すタイミング、声色表情からの感情の探り合いも含みます。ここでお伝えする論理的思考は実務の初歩の初歩に過ぎません。

さらに、どのようなリスクがあるから、プロジェクトのどの部分をどのようにすればリスクが最小化できる、といった提案ができれば、なお良いです。プロジェクトが勤務先に利益をもたらすことを理解した上で、リスクが顕在化すれば逆に損失が出てしまうから安全に利益を確保するために知恵を出している、勤務先に利益をもたらす一助となるための知恵である、と言えれば最大の評価を得られるでしょう。貢献が認められればプロジェクトを通じて得た利益の分配が期待できます。

3.軽々しくノーと言わないことは技術

法務部員として成功しやすい思考様式は、ノーと言うことが職責だと弁えた上で、軽々しくノーと言わないよう徹底することです。ノーを突き付けられた側の立場に配慮すれば、ノーと言いたくはないが言わざるを得ないという苦しさが伝わる説得が行えるはずです。さらに、ノーと言いたくない一心で修正案をひねり出せれば、一発逆転の最高評価が得られます