法的三段論法の使い方

1.法的三段論法のおさらい 

簡単に法的三段論法を確認します。 

大前提・規範:(例)民法第4条「年齢十八歳をもって、成年とする。」

小前提・あてはめ:(例)A君は15歳である

結論:(例)A君は未成年である

法学部や法科大学院で飽きるほど教わったはずですが、本当に重要です。法務部員になった後に、このフォーマットを理解できていなければ、お話になりません。 

2.法的三段論法の使い方 

私は法律初学者のころ、法的三段論法がどうにもしっくりこなかったのですが、それは、大前提から考えていたからです。 

司法試験では、出題範囲が限られているので、大前提たる法律がある程度頭の中に入っています。すると、問題文中の事実を見た瞬間に結論が出るので、限られた筆記時間の中で思考過程をどの程度説明するかを考えるだけでした。法的三段論法は、試験において求められている記述形式に過ぎないと考えていました。 

しかし、実務に出てから、法的三段論法は結論からさかのぼっていくのだと気づいて、一気に理解が深まるとともに、なぜ法的三段論法を叩き込まれたのかがわかりました。 

法務部員の現場では、結論とあてはめに使う事実が先に頭に入ってくるため、次のような発想になります。 

① 現場から、取引先の納期遅れが酷いから契約を解除したい(結論)と相談を受ける。

② 何月何日に契約した事実、何月何日に納品されていない事実を確認したので、納期遅れによる解除というあてはめ(小前提)がしたい。

③ 契約書を確認して、いつが納期なのか、何日の納期遅れで即解除が可能かを調べる(大前提)。

一気にわかりやすくなったと思います。 

3.あてはめとルール探しを行ったり来たり 

法務部員の実務では、小前提(あてはめ)と大前提(ルール探し)を行ったり来たりします。 

① 現場から、取引先の動きがあまりよくないので契約を解除したい(結論)という相談を受ける

② あまり動きが良くないとはどういうことか事実をヒアリングする(小前提)

③ ②で把握した事実をあてはめれば(小前提)解除できそうな契約条項(大前提)を探す

④ 見当たらないので使えそうな解除条項(大前提)をピックアップする

⑤ ④の契約条項(大前提)へのあてはめ(小前提)に使えそうな事実はないか現場にヒアリングする

法的三段論法の枠組みの中で行ったり来たりしていることを確認していただければと思います。法務部員は法的三段論法があるから迷子にならないのです。 

現場が求める結論を出すべく知恵を巡らせるのが法務部員の仕事なのですが、そのためには法的三段論法の理解が必要になります。だから法学部も法科大学院も私も口ずっぱく法的三段論法を教えています。