面接対策4 どんな本を読んできましたか 

1.これまでの人生でどんな本を読んできましたか 

法務部員の採用面接では、これまでの人生でどのような本を読んできたかが問われることがあります。質問の意図を深読みして、その企業の経営者や創業者が書いた本を読んだことが求められているのか、思想を問われているのか、など混乱に陥ってしまう方が多いようです。 

しかし、多くの場合、質問の意図はシンプルです。たくさんの文章に触れてきた人は文章が上手いから即戦力になります。そんな人材かどうかを見極めたいのです。 

2.理想の文章 

法務部員には様々な文章を書くことが要求されます。契約書では意味が一義に定まる文章が理想です。謝罪文では何について反省しているのかを明確にした上でこの先どうやって改善するのかを伝える文章が理想です。トラブルが生じた際の内容証明郵便では訴訟想定なのか話し合いがしたいのか覚悟の程度を暗に示す文章が理想です。説明書やガイドラインでは読みやすく読む気にさせる文章が理想です。時と場合に応じて理想の文章は異なりますが、法務部員にはそのすべてに対応することが求められます。 

3.文章に求められる要素 

文章の基礎になるのは論理的思考です。何度読んでも意味が通じない文章は最悪です。読めばなるほどもっともだと感じさせる説得力を備えた文章を書けることが出発点になります。 

しかし、法務部員の現場では、論理的思考だけでは足りません。裁判ならば、裁判官も相手方の弁護士も、書面を熟読してくれます。しかし、法務部員が書く文章を読むのは、顧客であり、トラブルの相手方であり、不特定多数の一般市民であり、必ずしも熟読してくれるとは期待できない者です。そのため、読むことが苦にならない文章を心がける必要があります。そのためのテクニックが、全体量を少なくする、一文を短くする、テンポよく音読できるように句読点や言い回しを工夫する、などです。 

時には感情に訴えかけることも求められます。商品の瑕疵によって顧客に損害を与えてしまった場合、その怒りを鎮めるべく、謝意を前面に押し出すだけでなく相当な補償と再発防止への具体策を伝えることが求められます。 

法務部員の文章に求められる要素は、多面的かつ高度です。 

4.文章力を養うために 

学ぶの語源は真似ぶだと言われています。実際に、子供は大人の真似をして語学も社会常識も短期間で習得します。 

様々な文章が書けるようになるためには、様々な文章を読むことが近道です。 

文学の世界では、良い文章を書くためには良い文章にのみ触れなさい、という指導がなされることがあるようです。評価が高い文学作品のみを読むべきで、いわゆる通俗本に触れれば文章の品が落ちるという指導です。しかし、この考え方は法務部員には通用しません。法務部員にとっても、豊かな表現力、行間を読ませる力は有益です。しかし、それ以上に、平易な記載やテンポの良さが求められるからです。 

読んできた本は、文学作品に拘らず、なんでも良いのです。ただし、特定分野に偏るのではなく、様々な分野の本を読んできたことが理想です。文学作品も通俗本も法律の基本書も学術論文も裁判書面も内容証明郵便も新聞記事もインターネット上のコラムも、漫画すらも、どれも教材になります。求められるのは、時と場合に応じた文章を書くことなので、引き出しが多いに越したことはありません。 

もっとも、面接対策としては、漫画中心はあまりにもリスキーなので、文学作品を中心に据えた上で、法律の基本書やインターネット上のコラム、ときには漫画といった広げ方をするべきでしょう。