1.とにかく大変
法務部員の仕事は大変です。法律の勉強だけでも大変であるのに、ビジネスも、経理も、新技術も、なんでも学ぶ必要があります。
心理的なストレスも大きな職種です。法務部には社内で発生したトラブルがすべてのしかかってきます。なぜ稟議を通す前に口頭で契約を締結してしまうのか、なぜせっかく押印を終えた契約書を相手方に交付していないのか、そんなトラブルが続出します。社内でパワハラ事案が発生した、従業員が飲酒運転で事故を起こした、成績不良の従業員に退職勧奨をしたら弁護士から書面が届いた、そんなトラブルも日常茶飯事です。
デスクワークではあるのですが、トラブルシューターでもあるため、日々精神を削られていくのが法務部員です。
2.日々成長を実感できる
法務部員は大変な仕事であるため、日々の仕事をこなすだけで強制的に成長させられます。
私は経験豊富だという自負を抱いているのですが、それでも、急激に変化していく社会環境では、見たことのない類型の仕事に頻繁に遭遇します。そんなとき、少し前までの自分ならば思いつかなかっただろう柔軟な解決策が出てきて、自分でも驚くことが頻繁にあります。
全く知見のない海外の法制度を調査することになり、大仕事になるぞと覚悟を決めたら、意外とするすると調査が進むこともあります。
法律だけをひたすら学ぶならば、どこかで頭打ちになるのかも知れませんが、学ぶべき範囲が幅広いので、大変な反面、伸び悩みとは無縁です。法務部員は、法律を中心とした総合力で戦うので、伸びしろが大きく、日々成長を実感できます。
3.頼りにされる
法務部員には社内営業が必要だと言われています。しかし、特別な営業は必要ありません。日々の仕事を誠実にこなすことが結果的に営業になります。
これまで社内で見たことがないビジネス類型の契約書の添削を依頼されたとします。そんなときは、添削を依頼してきた部署に連絡を取ってヒアリングをします。ヒアリングに応じることも手間ですから、嫌がられることも多いのですが、契約書を添削する前提として必要だからと説明すれば、自分が依頼した仕事のためですから、協力が得られます。
添削を終えたら、契約書の文言修正に至らなかった箇所についても、「ヒアリング内容を踏まえるとこのように考えられるから修正不要」といったコメントを添えて返します。ヒアリングに応じた甲斐があったと感じてもらえれば、次からのヒアリングへの協力を得やすくなります。
法務部員にはコミュニケーション能力が必要だと言われますが、それは社交性や人懐っこさではありません。自分が真摯に仕事に取り組む姿勢を示しながら、協力を求める際には、その必要性を丁寧に説得する誠実さがあれば足ります。
事業部門から、あいつは自分たちを支えようと必死に仕事をしてくれている、そう思ってもらえることが社内営業の目的です。
社内営業を欠かさなければ、社内顧客が増えていきます。何かあれば真っ先に法務に相談するという企業文化が醸成されます。
特別なことをしなくとも、真面目に仕事をしているだけで頼ってもらえるようになるというのは、法務部員の特権です。
4.経営層との距離が近い
あらゆる企業活動が法律に関係しています。M&Aなどの企業の存亡にかかわる重大な活動にも、当然、法律が関係します。そのため、法務部員には、経営層から意見を求められることが多々あります。中には、勤務先の株価に大きく影響を及ぼすような重大な案件もあり、社内でも経営層と自分以外が知ってはならない秘密を預かることも多々あります。
経営層との距離が近いことも法務部員のやりがいです。
5.ただ真面目に仕事をしているだけで良い
営業ならば、自分の力だけでなく、自社の商品の競争力も成果に影響してきます。担当顧客との相性もあるでしょう。人事ならば、不良従業員に問題を起こされてしまえば、自分の評価が下がります。
法務部員の仕事にも運不運があり、思いもしなかったトラブルが発生して忙殺されることが多々あります。
しかし、深刻なトラブルが発生した場合にも、致命傷を回避すれば手柄になります。
法務部員の仕事は大変ですが、運不運の影響が小さく、ただ真面目に仕事をしているだけで報われることも法務部員のやりがいです。