法務部員に向いているのは 

1.法律を知っているだけでは役に立たない 

法務部員には高度な法的素養が要求されます。特に、民法については、いくら勉強しても勉強し過ぎにならないほど深い理解が求められます。その意味において、法務部員は法律の専門職です。 

しかし、法律しか知らない法務部員は役に立ちません法務部員は警察官でも裁判官でもなく、管理部門の一員として事業部門をサポートするとともに経営も支える大黒柱です。大黒柱には、どんな方向からの圧力にも耐える懐の深さが必要です。契約書を添削するにはビジネスを理解する必要があり、労働トラブルを解決するには企業文化や人間関係を理解する必要があります。新技術を利用した新サービスを立ち上げるに際しては、その新技術の仕組みを学ぶ必要があります。 

法律だけでも難しいのに、さらになんでも知っているT型人材であることが求められます。T型どころかπ型や冊型が望ましく、逆に法律一本のI型では大黒柱足りえません。 

2.好奇心は武器になる

好奇心がある人間は、知らないことを知ることを楽しく感じます。常に新しいことを学び続けることを強いられる法務部員にとって、学びを楽しく感じることは武器になります。 

もっとも、仕事だからと割り切って様々な分野に手を出せるならば、好奇心が強くなくとも問題ありません。好奇心を原動力にしてしまうと、この分野は好きだがこの分野は別にというムラが出てしまうので、強いプロ意識が学習意欲を支えるならば、その方が良いかも知れません。 

3.一つのことに打ち込んだことがある人 

法務部員の仕事は悩みの連続です。答えがない、奇麗な解決ができない場面に出くわすことが日常です。そんなときは、少なくともこの利益だけは守れるのだから、この選択で良いのだ、という割り切りが求められます。 

この割り切りを支えるのが、確固たる物差しです。拠り所、スタンダード、バックボーン、マインドセット、フレームワーク、ドグマ、呼び方は何でも良いのですが、ぶれない物差しがあれば思考は迷子になりません。 

資格試験などのために必死になって法律を学んできたならば、利益衡量などの物差しが身に付いているでしょう。法律以外の出身でも、そこである程度踏ん張って、物差しを身につけているならば、それで足ります。私の場合は経済学で、常に最適化から考えます。スポーツでも、成果を出すためには、これだけは守らなければならないという物差しが必要です。営業としてバリバリ頑張っていても、経理として毎月数字と格闘していても、なんらかの物差しが身に付きます。 

何かに打ち込んで自分なりの物差しを身につけていることは、迷うことが日常の法務部員にとって、大きな助けになります。 

何も物差しを持っていないならば、既に出遅れていますので、法務部員として日々を真剣に過ごしてください。そのうちに自分なりの物差しが得られます。 

4.疑り深い人

法務部員には間違いは許されません。法務部員が判断を誤れば、勤務先は違法行為をしてしまい、存続の危機に陥ります。そのため、法務部員には、常に自分も他人も疑うことが求められます。 

法務部員には、自分の過去の経験を頼ることすら許されません。過去の記憶が正確かつ正解であっても、法改正などで答えが変っているリスクすらあるからです。 

現代の法務部員はインターネットを通じて情報収集を行いますが、弁護士が執筆したコラムの内容が正しいとは限りませんし、いつ執筆したものかもわかりません。官公庁のガイドラインに辿り着いても、それが最新版かどうか確認することが求められます。AIを使うことは否定しませんが、常に情報源を確認して裏を取る疑り深さは法務部員に必須です。そのために、情報源を明示するAIを利用することが望ましいです。