業務委託契約

1.民法にない

民法第3編債権第2章契約では、第2節から第14節にかけて、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解という契約類型が取り上げられています。これらを典型契約や有名契約と呼ぶのですが、契約自由の原則の下、これらの類型から離れた契約を締結することも、原則自由です。

そして、実務において最頻出の業務委託契約は、典型契約の中には見当たりません

2.一口に業務委託契約といっても色々ある

一口に業務委託契約といっても色々あります。私は企業から法務部機能の支援の依頼を受けていますが、これも業務委託契約です。非典型的な契約書を作成してくれと依頼を受けた場合、これも業務委託契約です。必要なときだけ助言してくれという依頼も業務委託契約です。この場合の業務委託契約は顧問契約と呼ばれることもあります。

イラストレーターが、どのようなイラストを描いてくれと依頼されることも業務委託契約です。小説家が出版社に自分が書いた小説の管理を委託することも業務委託契約です。WEBサイトの保守も業務委託契約ならば、商品の製造を外注することも業務委託契約です。なんでもかんでも業務委託契約です。

3.問題は契約の性質

法務部員にとっての問題は、目の前の業務委託契約には法律のどの条項が適用されるか、ということです。

目の前の契約に民法のどの条項が適用されるのかは、契約の性質によって決まります。業務委託契約が作業の実施を目的とするだけで成果物の完成を求めていないならば、履行割合型準委任契約の性質を持ち、履行割合型準委任契約についての民法の規定が適用されます。目の前の業務委託契約が成果物の完成を求めるならば、請負契約か成果報酬型準委任契約の性質を持つので、やはり民法上の該当する規定が適用されます。目の前の業務委託契約がどのような性質をもつのか判断するためには、民法の典型契約の特徴を理解しておく必要があります。