面接対策1 自己紹介の目的と講師の自己紹介

1.なぜ自己紹介をするのか

就職・転職の面接では自己紹介を求められることが多々あります。その際に、生年月日、出身校、趣味などを語り出す人が非常に多いのですが、一体、どのような目的からでしょうか。高校初日の自己紹介ならば、どの中学出身か、共通の趣味を持っているか、など、個人情報を開示することに意味があります。しかし、就職・転職の面接では事前に履歴書が提出されており、そこに生年月日も出身校も趣味も書かれています。

これから、私の自己紹介をしますが、主たる目的は、読み手に、このような経歴の講師ならば信用できると思ってもらうことです。加えて、自己紹介ではどのような内容を話せばよいのかの具体例を示す目的もあります。

2.私がサラリーマンになるまで

私は、現在、弁護士として独立開業し、法律事務所を経営していますが、実質的には、上場企業を含む複数の企業に対して日替わりで法務サービスを提供している、フリーランスの法務部員です。

私は、世の中に物やサービスを普及させる仕掛け人になりたいと考えており、企業に幹部候補として入社するために、東京大学大学院経済学研究科で経営学やマーケティングを専攻していました。しかし、日本で文系の大学院まで進学してしまうと、外資系コンサルタントか学者になるしか道はないことに進学後に気づきました。

私が将来に悩んでいたころ、司法制度改革が始まりました。法律以外のバックボーンを持つ弁護士は社会で大活躍できると宣伝されていたので、弁護士を志しました。弁護士資格は欲しくても職業としての弁護士になりたいと思ったことは、人生で一瞬たりともありません。

2010年に弁護士となり、当初、顧問先企業からの仕事しか受けない法律事務所で勤務弁護士になりました。しかし、仕事の内容は、企業対企業の紛争の解決ばかりで、扱う金額こそ大きいものの、私のバックボーンを活かせませんでした。

当時は弁護士向けの国会議員政策担当秘書の求人が多数出ており、私は、経済経営も法律も活かせると考えて国会議員秘書になりました。ところが、おそらく多くの方がイメージする通りで、私が求める仕事はできませんでした。

人生の迷子となった私は、原点に立ち返り、幹部候補などと贅沢は言わずに、弁護士を募集している企業ではなく、法律もわかる経営層を探している企業でサラリーマンになりました。

3.初めての面接と会社員時代

私は、弁護士になった際も、国会議員秘書になった際も、面接らしい面接を経ずに就職・転職していました。サラリーマンになるために人生で初めて面接に挑むことになりましたが、当時私は33歳になっていたというのに、民間企業で働いたことがありません。苦肉の策で、面接では、ここでしているような長い自己紹介をし、なぜ自分がサラリーマンになりたいのか、どのような仕事をしたいのか、そのためにどのような道を歩んできたのか、を伝えました。そして、なんでもいいから自分の力を発揮できる仕事を任せて欲しい、金銭は求めないがやりがいは求める、と正直に思いを伝えました。それを気に入ってもらい、晴れて私はサラリーマンになりました。

私は、自分は世間知らずのオールドルーキーのつもりでしたが、周囲からは、弁護士と国会議員秘書という社会の暗部を渡り歩いた私ならばストレス耐性が高いだろうと期待されていました。退職理由も、やりたい仕事をするためと一貫していたことが好印象だったようです。

私は、上場持ち株会社で、経営層直下の経営企画室に所属し、グループ全体の法務の統括と新規事業開発を担当することになりました。次々と新しい事業を立ち上げるためには、ビジネス全般への関心が高く、法的な調査力を備えており、ストレス耐性が高い人材が必要で、そこに私がフィットしたのでした。

法務としては年間数百通の契約書を作成・添削しました。契約書の作成・添削の力をつけるためには、とにかく数をこなすことです。ただし、独り善がりでは意味がなく、他人の仕事ぶりを知る必要があります。勤務先はIT企業を母体としており、独自開発した稟議システムの完成度が高く、契約締結稟議記録を見れば、契約書を、誰が、どのようなコメントとともに、どのタイミングで修正したかが追いかけられました。また、複数の顧問弁護士も相談先になってくれました。

勤務先はM&Aを繰り返して大きくなったグループだったので、買収スキームの立案やデューデリジェンスといったM&Aを学びました。さらに、買収してきた事業所に常駐して業務マニュアルを作成したり不満点を吸い上げて解消する制度を作ったり、ポスト・マージャー・インテグレーションにも従事しました。私は私が立ち上げた事業部門の初代トップであり次のトップを選抜するまでが仕事だったので、マネージメント経験も積めました

30代半ばの若造になぜそこまで任せてもらえたのかわかりませんが、当初、私は、与えられた裁量の大きさに委縮してしまい、法的な解説のみを提供する評論家のような態度をとってしまいました。するとオーナーに激怒され、私が判断しないのでは私を雇った意味がない、判断するのが私の仕事、責任を取るのが経営者の仕事だと怒鳴りつけてもらえました。この言葉で吹っ切れていなければ、自分の生涯年収を軽々と超える金額を次々と動かすことはできませんでした。

4.会社員を辞めた理由と今の働き方

楽しかった日々は突然終わってしまいます。勤務先は急拡大を続けていたのですが、ある日、オーナーから、上場廃止すると決めたと伝えられました。私は、一旦外資に身売りして再上場を狙うのかと思いましたが、そうではなく、単純に上場を廃止して、しがらみから逃れたいというだけでした。経営者としてではなく支配的な株主としての判断なので、従うしかありません。企業は誰のものか、などという議論があるようですが、法的には、もちろん、株主のものです。

私は、業績好調の中での上場廃止という珍しいミッションを遂行してから退職しました。M&Aなどの私が楽しんでいた仕事が大幅に減ってしまったからです。

退職後は、とりあえず弁護士として独立して、契約トラブルの解決など、一般的な弁護士の仕事をしていました。

あるとき、友人の弁護士が、企業から法律事務所に転職しようとしたら企業から慰留され、仕事量半分給与半分でサラリーマンを続けることになったが、給与半分でも仕事量は半分になっていないと愚痴っていました。理由や現状はともかく、私は、何曜日だけ出勤するという働き方もあると知り、そのような仕事を探すことにしました。

時間はかかりましたが、なんとか何曜日だけ法務部員として働ける企業を見つけると、今度はそれが障害になって弁護士の仕事が窮屈になります。同時に、何曜日のみ稼働の実績があると、別の企業からもお声がけをいただけるようになりました。その結果、現在の、フリーランスの法務部員として複数企業で同時稼働する業態に落ち着きました。

私の大好物は企業内部の難しい仕事です。現在は、複数の企業から難しい仕事を拾い集められるので満足しています。同時に、後進にも役立つだろう経験が自然と蓄積されます。だから講師をしています

5.現在の自己紹介

私が企業と新たに契約締結をする際には、経営層と面談することになるのですが、その際には、自分の実績を具体的に説明しています。私が持つスキルを信用してもらい、かつ、具体的に何ができるのかイメージしてもらうことで、私が即戦力であると知ってもらうことが目的です。

6.自己紹介に目的や理由を持たせる

自己紹介には目的が必要です。自分が採用担当者ならば自分を採用するかという視点から、自己アピールを行う必要があります。また、就職や転職は、選抜試験でもありますが、マッチングの場でもあります。相性が悪い企業に就職してしまえば、自分は力を発揮できませんし、企業も期待したパフォーマンスを発揮してもらえず、双方が不幸になります。だから、自分は企業に何を求めているか、はっきり伝えることも重要になります。

自己紹介のときだけでなく、常に目的や理由を持って行動していれば、それが積み重なってストーリーになります。まだ誇れる実績がない段階では、ストーリーを伝えることが自己紹介の目的です。ストーリーに共感してもらえれば、期待してもらえます。スキルと誇れる実績を身につけた後は、それを具体的に伝えて即戦力であるとアピールすることが自己紹介の目的になります。自分は何をしたい、何ができる、だからやらせくれ企業に何を求めているか伝えることも、自己紹介の目的です。自己紹介に目的を持たせることで、就職・転職の成功が近づきます